1.「過ちから学ぶこと」の重要性
本事業では、医療機関から事故の起こり方、関連職種、事故の重大性、患者への影響度などについて、様々な事例が報告されている。また、病院の規模や病床種別などによっても発生する事故には差異がある。しかし、改善策を講じることの必要性や病院が組織として取り組むことの重要性に変わりはない。
医療事故が発生した時に、単に職員の失敗が事故の原因という見方だけでは、事故の本質を見極めることは困難であり、再発を防止できない。事故の背景に潜む組織全体の課題を把握し、何故ミスにつながる行動を取ったのか、その行動の背景にはどのような誘因があったのかなどを探求して改善する必要がある。

そのためには、病院がインシデント・アクシデントレポート(以下「レポート」という。)を基にいかにして有効な対策を立ち上げ、職員に周知徹底するかということが、事故防止のための最大のキーポイントになる。
各病院が、それぞれの事故事例から過ちを正しく認識し、そこから学ぶという観点で、各病院の状況に即した医療事故防止対策を考え、組織的に取り組んでいくことが必要である。 |