警鐘事例  
 
  事例
 No.038
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 誤配膳
 
 
病院から報告された事故の概要
  禁食中の患者の朝食が栄養科からの配膳ワゴンに乗せてあった。配膳をした看護助手Aは、ベッドサイドに禁食を表示する札に気がつかず、食事を配膳して食事介助をした。日勤帯の検温時に食事摂取量の欄に朝食摂取量が記入されているのに気がついた看護師Bが、おかしいと思い確認したところ、栄養科より誤って禁食の患者の食事を出したことがわかった。
 
     
要因
 

1. ベッドサイドの禁食の札が小さいため、職員が見逃して食事を食べさせた。
2. 栄養科で、食札を確認した際、禁食と「〜禁」を見間違えて食事を提供した。
3. 栄養科で食札にじかに禁食とかいてあるのではなく、付箋を貼って禁食を表示していた。
4. 栄養科において、最終的に食札を確認するのは栄養士でなければならないのに、それが守られず、不慣れな調理職員が食札のチェックをした。
5. 患者の意識レベルが低下しており、もともとの痴呆もあって、患者自身から「自分は食事はないはず」というような返答を得ることができなかった。

 
     
病院で実施した改善策
 

1. 病棟においては、ベッドサイドの禁食や食待ちの札をA4サイズくらい大きく、目立つものにする。
2. 食事摂取量チェック表に、禁食中の患者については、赤字で大きく禁食中と明記する。
3. 栄養科においては、マニュアルを遵守し、禁食の患者に食事を出すことが、患者にどのような影響を及ぼすかを理解することができるよう、管理者は指導・教育する。

 
     
評価委員会からのコメント
  病棟、栄養科双方で検討されていることは有意義であると思います。ただ、食札に直接「禁食」と記入しないで付箋を使用したのは、記入してしまうと後が面倒などの理由によるものかと思われます。「面倒」「医療者がやりやすい」と言った「手抜き行為」による事故は後を絶ちません。やりやすさではなく、間違いを起こさない方法を検討すべきです。
 
 
 

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