警鐘事例  
 
  事例
 No.045
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 バイトブロックによる義歯破損
 
 
病院から報告された事故の概要
  術前に麻酔導入時および覚醒時には歯牙、特に義歯の損傷の危険があることを患者本人に説明していた。手術当日、麻酔導入前に前歯の動揺がないことをチェックした上で、麻酔導入。手術終了後、患者は徐々に覚醒すると共に興奮状態となりバイトブロックを吐き出した。再挿入を試みたところ、患者の義歯(前歯2本)がはずれ、1本は口腔内にて発見し回収したが、もう1本は胃内にあることを確認した。患者本人に手術室内で経緯を説明し、さらに歯科医が患者口腔内を診察した。病棟に帰室後、患者家族に経緯を説明し、胃内に残された1本は自然排泄を待ち、明後日に当院歯科口腔外科を受診することとした。  
     
要因
 

バイトブロックを吐き出したことによって、挿管チューブを噛み、窒息状態に陥る危険があったためにバイトブロックを再挿入した。

 
     
病院で実施した改善策
 

バイトブロック固定位置を工夫し、義歯上での固定をなるべく避け、患者覚醒時にも位置がずれないように厳重に固定することとした。
また、現在使用中のプラスチック製バイトブロックは、義歯などでは歯牙損傷を来たし易いため、コスト高とはなるが天然ゴムなどでカバーされた製品への変更を検討する。

 
     
評価委員会からのコメント
  この患者の義歯は取り外しのできない差し歯のような物であると思われます。取り外しのできる義歯であれば当然挿管する前には外します。
はずれない義歯ばかりではなく、患者の歯であっても折れる可能性があります。
この事例で病院から出された「要因」は本当にこの事例の要因になっているでしょうか。検討する余地があります。
要因を十分に分析できれば対策が見えてくると思われます。
患者の覚醒状態に合わせて、医師や看護師が充分観察しながら処置に当たるのは当然のことですが、そもそも覚醒してくればそのようなことが起こることは予測できていたと思われます。バイトブロックの固定に置いても頬骨と顎骨にきちんと絆創膏で固定してあったのか、十分な知識に基づく予測を持ち、適切な固定をすること、それと併せて天然ゴムでカバーされたバイトブロックの使用を考えるなどできるだけ事故防止対策を充実させることが必要です。

 
 
 

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