警鐘事例  
 
  事例
 No.047
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 誤薬
 
 
病院から報告された事故の概要
  小児科主治医は、麻酔科からのオーダー確認後、麻薬処方せんに記載し薬剤部に提出したが、薬剤部および看護師の指摘により麻薬処方せんの記載「塩酸モルヒネ1.8mg」を二重線で訂正し「塩酸モルヒネ20mg、単シロップ5ml、水15ml、1×医師の指示通り」と記載しなおした。麻酔前投薬投与直前に、看護師に確認し看護師が「20ml」と答えたため、それ以上の確認を行わず、塩酸モルヒネシロップ1.8mgの指示のところ、処方された全量の20mgを内服させたことが、看護師の残量確認で発覚した。オーダーシートの麻酔科指示、麻薬ワークシートも1.8mg→20mgに修正されていた。医師に連絡し診察の結果呼吸状態が安定していたため、9時に手術室に入室させた。  
     
要因
 

麻酔科医師の指示の容量と、小児科医師の処方せんの容量が異なっていたが看護師は疑問を持たず、確認せずに投与した。
1. 小児科医は麻薬の薬剤部提出処方せんを修正したが、処方ワークシートの内容を修正しなかった。
2. 担当看護師は薬札を見て、医師に連絡せずに処方ワークシートを修正した。
3. 深夜担当看護師は、日勤担当看護師からの投与量の相談に対し、オーダーシートの麻酔科医の投与指示と麻薬処方せんのモルヒネ量の照合をせず、確認行動を取らないで医師の指示を修正した。
4. 看護師は、時間切迫という状況にて、疑問を持ちながらも自分で確認行動をとらずに内服させた。
小児科における麻薬前投薬取り寄せシステムの問題として、麻酔科医の指示が出される前にあらかじめ決められた麻薬処方せんで薬品取り寄せの指示を出している。

 
     
病院で実施した改善策
 

1. 医師は、麻薬処方箋の記載内容に修正が生じた場合は、処方ワークシートの修正も必ず同時に行う。
2. 看護師は口頭指示を受けない。
3. 実施する看護師は、医師の指示を安全に実施するための確認の原則を守る。
4. 指示内容に疑問を持った場合は、医師に速やかに確認する。
5. 小児科の麻酔前投薬に関するルールを作成する。

 
     
評価委員会からのコメント
  この事例は指示変更時の混乱の好例です。事例においては、麻酔科のオーダーを小児科医が処方箋に記載したり、そのオーダーを麻酔科の医師に確認しないで薬剤師とナースの意見で変更したりしています。
また、要因、対策ともに、よく検討されていると思います。
さらにこの事例で検討が必要なこととして、なぜルールが守られなかったのかということです。医師がワークシートに記述もれしてしまったのはなぜか、看護師がワークシートを直してしまったのはなぜか、麻薬投与の手順に問題はないかなどの視点です。ルールが守れなかったということに対して、守りやすくする工夫や手順そのものの見直しなどが必要な場合もあります。原則通りであっても手間がかかりすぎたりすると守れない場合もありますので、守られないマニュアルは、何故守れないのかも併せて検討してみましょう。
新たな確認方法を追加したり、導入したりすることが、必ずしも問題解決にならないケースもあります。
 
 
 

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