警鐘事例  
 
  事例
 No.090
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 輸血実施後のトラブル
 
 
病院から報告された事故の概要
 

平成16年6月6日子宮筋腫分娩による出血多量で緊急手術をした。術後主治医は輸血不要と判断し帰宅。当直医は輸血必要と判断し輸血の指示を出しカルテに記載。翌日以降主治医はそれに気付かず入院サマリーにも輸血なしと記載。3ヵ月後患者は輸血後の検査を希望して外来受診。主治医はサマリー、手術記録の「輸血なし」をみて輸血はしなかったはずだから検診は不要と説明した。翌日家族から輸血はしたはずだと問い合わせがあり対応した当直医が入院カルテを確認したところ確かに輸血を行なっていた。当直医より家族に謝罪し後日外来を受診していただいた。

 
     
要因
 

輸血を実施した当直医が非常勤医師で直接主治医に連絡しなかったこと。輸血の要否につき当直医、主治医間で隔たりがあったこと。主治医がカルテの記載をきちんと確認しなかったこと。以上が重なったためと考えられる。

 
     
病院で実施した改善策
 

ごく基本的なことではあるが、診療上重要な処置を主治医以外の医師が指示実施した際には直接主治医に報告すること。あるいは緊急性を要しない輸血については余裕があれば主治医に事前に相談すること。主治医以外のカルテの記載を主治医はきちんとチェックすること。

 
     
評価委員会からのコメント
 

主治医と当直医の引き継ぎはどのように行われているか、院内の実際の状況を把握し、引き継ぎの内容や方法を明確にする必要があります。

輸血したことを主治医が知らないことは、病院の信用にかかわり治療への影響もあると思われます。当直医から主治医に報告がなされなかったと言うことですが、主治医に連絡がつかないような状況や、緊急時で切迫した状況であれば別ですが、当直医が主治医へ連絡し治療方針を確認する必要があったのではないでしょうか。

また、血液型製造番号のシールをカルテ等に貼るなど、治療内容についての情報の共有手段を具体的に決めておく必要があります。

輸血は臓器移植であり、その影響は長く残ります。 平成15年7月の薬事法の改正により、特定生物由来製品(輸血用血液製剤、人血漿分画製剤 等)に関しては、使用に関する記録を少なくとも20年保存する必要があり、常に書面での記録確認ができる状態にする必要があると定められています。輸血実施記録について院内での取り決めを見直してみてはいかがでしょうか。
 
 
 

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